被爆直後の医療資料展示=医師会が伝承コーナー開設―広島

広島への原爆投下直後から被爆者の治療に当たった医師らの活動を後世に伝えようと、広島県医師会がカルテなどの医療資料の収集を進めている。県医師会館(広島市東区)には4日、「被爆伝承コーナー」が開設され、一部が展示された。

戦後77年が経過し、関連資料の散逸が懸念されることから、県医師会が昨年8月、会員らに資料提供を呼び掛けた。これまでに14の医療機関や個人から、死亡診断書や体験記などの資料が集まったという。

展示されたカルテには、下痢の症状を訴える被爆者にカンフル剤を処方したと記されている。寄贈した滝口峻さん(80)=広島市中区=は、「十分な情報や知識がない中、(被爆者を)診療した祖父の努力が少しでも認められれば」と話した。

今後、大学生で被爆し、その後医師になった男性らの証言映像などを追加する予定。伝承コーナーは無料で、平日午前9時から午後5時まで。

時事通信社

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