無痛分娩、半数が診療所=安全面で課題、欧米は大病院主流

出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)で、事故が相次いで表面化した。大病院が無痛分娩を担う欧米と異なり、診療所が全体の半数を扱う日本独特の環境が背景にある。専門家は安全面の課題を挙げ、「問題が起きた時に蘇生できる技術と態勢が必要だ」と指摘する。

無痛分娩では、大阪府警が業務上過失致死の疑いで院長を書類送検した老木レディスクリニック2(大阪)のほか、京都や兵庫などで母子が死亡したり、重い障害が残ったりした事故があったことが分かっている。多くは診療所か小規模病院だった。

日本産婦人科医会の調査によると、2007年度に分娩全体の2.6%と推定されていた無痛分娩の実施率は、徐々に増加して16年度に約6%になった。日本は分娩の半数を診療所が取り扱っているが、無痛分娩も診療所が半数を占めていた。

無痛分娩の実施率が6割に達する米国で、麻酔科医として勤務した経験を持つ大瀧千代・大阪大講師は「米国では分娩自体を複数の産科医、麻酔科医、小児科医のいる大病院で行う」と違いを指摘する。

麻酔薬が目標以外の所に入るなどのケースは、まれだが避けられない。発見が遅れれば、母親の呼吸停止や心停止につながる。その場合、母親を蘇生しながら胎児の状態を把握するなど、同時に多くの作業を行わなければならない。

大瀧講師は「人手が薄い診療所では対応が難しい。無痛分娩を行う医療機関には、蘇生の技術と態勢が必要だ」と話している。

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