在宅医療、停電で綱渡り=「無防備過ぎた」―介護にも課題・北海道地震1カ月

北海道地震による大規模停電では、在宅医療で使う機器に電気が供給されず、患者や家族は長時間にわたり不安や緊張を強いられた。「無防備過ぎた」「孤立状態になった」。要介護者を抱える家族からも、地震を教訓にした対策を求める声がある。

札幌市北区の小川隼弥さん(16)は先天性の大脳白質形成不全症のため、たんの吸引器のほか、夜間は人工呼吸器などを使っている。地震があった9月6日は、高熱を出した隼弥さんを母の孝子さん(55)が看病していた。真夜中、突然激しい揺れが襲い、直後に家中の電気が消えた。

体調が悪い時こそ機器が重要だが、充電は約30分しかもたない。苦しくないか様子を注視しながら吸引の回数を減らした。約7時間後、太陽光発電の知人宅で充電させてもらい、7日夜に電気が復旧するまで、充電のため何度も知人宅や学校と自宅を往復。急いで予備の充電器を調達した。

隼弥さんは普段、ミキサーで細かくした物を食べているが、停電で使えなくなった。胃ろうで栄養分を摂取できたが、孝子さんは「停電のことを全く考えておらず、無防備だった。もし避難所生活になったら、もし冬だったら…。いろんな想定が必要だと痛感した」と話す。

道によると、自宅で人工呼吸器を使っている人は道内に約1600人。札幌市には災害時の支援が必要な要配慮者は約11万人いる。

同市南区で、認知症で要介護度4の母(89)と2人暮らしの大西英彦さん(64)は、地震の4日後にデイサービスが再開するまで、一人で介護した。不安になると大声を上げる母を落ち着かせるのに必死だった。左半身が動かないため避難所に連れて行く手段もなかった。

大西さんは「介護事業者の送迎車で避難所への移動を助けてほしい」と地域や福祉事業者の協力を求め、「(ケアマネジャーらから)安否確認などの連絡があれば安心感が違ったはず」と振り返った。

時事通信社

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