脳内の塩分センサー発見=阻害剤が高血圧新薬候補―基礎生物学研

食塩(塩化ナトリウム)を過剰に取った際、体液のナトリウム濃度上昇を感知して交感神経を活性化させ、血圧を上げる脳内のセンサーを発見したと、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の野田昌晴教授や野村憲吾研究員らが29日付の米科学誌ニューロン電子版に発表した。

このセンサーを生み出す遺伝子を欠損したマウスは、食塩を大量に与えても血圧が上昇しなかった。野田教授は「高血圧の治療はまず塩分摂取を減らすことが大事だが、このセンサーなどの阻害剤が新薬になる可能性がある」と話している。

塩辛い飲食物を取り、腎臓がナトリウムを尿に出し切れなくなると、血液や脳脊髄液などの体液中のナトリウム濃度が上がる。その結果、交感神経が活性化して血管が収縮し、血圧が上昇して腎臓からのナトリウム排出を促す。しかし、ナトリウム濃度上昇を感知して交感神経に伝える仕組みが分からなかった。

野田教授らは、脳内の脳脊髄液に接する「終板脈管器官」に注目。この器官内で、神経細胞を補佐するグリア細胞にあるセンサー「Nax」が脳脊髄液のナトリウム濃度上昇を感知すると、神経細胞の信号が脊髄などを経由して交感神経を活性化させることを解明した。

マウスでは、Naxの遺伝子を欠損させる実験のほか、Naxのあるグリア細胞と連動する神経細胞の働きを薬剤で抑える実験でも、血圧上昇を防ぐことができた。

時事通信社

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