超高額薬への対応課題に=保険範囲の見直し案も―政府

薬の単価で国内最高額となる白血病などの治療薬「キムリア」の保険適用が15日、了承された。医療の高度化が進み、「超」高額と呼ばれる新薬が相次ぎ登場。病気に苦しむ患者に光明が差す一方、医療保険財政の圧迫要因の一つともされ、政府は対応を模索している。

「高額新薬を保険適用しながら国民皆保険制度を維持するには、保険給付範囲見直しが喫緊の課題だ」。キムリアの価格が3349万円と決まった直後、健康保険組合の代表者らは記者会見を開き、制度見直しを強く訴えた。

キムリアは1回の点滴で済む。予測される対象患者はピーク時で年216人(販売額年72億円)にとどまるが、今後幅広いがんへの治療効果が認められた場合、販売額が急増する可能性もある。

患者負担に上限を設ける高額療養費制度では、年収500万円の人がキムリアを使えば自己負担は40万円程度。残りは保険給付で賄われるため、特に小規模健保の運営を左右しかねない。

政府は薬価改定の見直しを進めている。2017年には1人当たり年間約3500万円かかるとされたがん治療薬「オプジーボ」の緊急引き下げを実施。21年度以降は毎年改定するほか、費用対効果に基づく価格調整を行うことも決めた。

一方、今年2月には脊髄損傷治療薬「ステミラック」が約1500万円で保険適用された。今後も、米国で承認された両眼1回投与で約9500万円の遺伝性網膜疾患治療薬「ラクスターナ」など、キムリアを超え得る高額新薬が承認申請されるとみられ、現行制度でしのげるかは不透明だ。

財務省は4月、市販薬と同一成分を含む医薬品への保険給付の見直しなど、給付範囲の再検討を求める提案を取りまとめた。政府は20年末までに医療保険制度改正を進める方針で、持続可能な仕組みづくりが急がれる。

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