ゲルで増やせる「がんの元」=個別医療など貢献期待―北大など

がん細胞の元となるがん幹細胞は、治療薬や放射線が効きにくく再発につながるやっかいな細胞だが、北海道大の研究チームは、ダブルネットワーク(DN)ゲルと呼ばれるゲル状物質でがん細胞を培養すると、短時間でがん幹細胞に変化する現象を発見した。患者のがん細胞から効率的に幹細胞を作り出せれば、再発予防に効果的な薬剤を見つける個別治療につながると期待される。

がん幹細胞は少数でもがん細胞を生み出す能力を持つため、がん治療後の再発や転移の原因と考えられているが、患者ごとに異なる幹細胞を詳しく調べることは難しかった。

北海道大の田中伸哉教授らは、同大の※(※龍の下に共)剣萍教授らが開発した二つの分子が網目状に組み合わさったDNゲルの上に、一般的な培養液と共に患者由来のがん細胞を置くと、24時間以内に急速に球状の塊を形成し、がん幹細胞になることを見つけた。できた幹細胞をマウスに移植したところ、体内で腫瘍を形成。実際にがん幹細胞として働くことも分かった。

できた幹細胞に対し、約400種類の抗がん剤を投与して効果を調べたところ、がん幹細胞だけを消滅させる治療薬候補も発見。この手法を使い、より多くの薬剤でスクリーニングを行えば、新たな薬の発見が期待できるという。論文は30日、英科学誌ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリングに掲載された。

時事通信社

(Copyright©2007時事通信社)