社会保障費の圧縮急務=現役負担、なお重く―高齢者医療費引き上げでも

75歳以上の後期高齢者の医療費について、一定の年収がある人の窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法が4日、成立した。公費の支出や現役世代の負担を圧縮するのが目的だが、社会保障費の総額に占める圧縮分はわずか。少子高齢化が進む中、さらなる改革が急務だ。

社会保障費は国の一般会計歳出の3割に達し、後期高齢者医療制度関連はその約15%を占める。同制度の2021年度の医療給付費(医療費全体から患者の窓口負担を除いた額)は16兆6000億円に上り、公費7兆8000億円、現役世代からの支援金6兆8000億円、高齢者の保険料1兆4000億円などで賄っている。

これに対し今回の制度改正による圧縮分(22年度満額ベース)は公費980億円、支援金720億円にとどまる。現役1人当たりの負担減は事業者負担分を除くと月約30円にすぎない。

現在、75歳以上の窓口負担は原則1割で、全体の7%に当たる現役並み所得者のみ3割。制度改正では1割負担者のうち、単身世帯で年収200万円以上などの人の支払いを2割に上げる。

反発が強いため、引き上げは現役並み所得者の支払いを2割から3割にした06年度以来。しかし、22年度から団塊の世代が後期高齢者になり始め、医療費の急増が予想されることから、社会保障費の圧縮と世代間の公平性確保は待ったなしだ。

菅義偉首相は「今回は改革の第一歩」と述べ、医療制度全般の改正に意欲を示す。厚生労働省幹部は「俎上(そじょう)に載っているのは、薬の保険適用範囲の見直しや外来受診の窓口定額負担の引き上げなど、痛みと批判を伴うものばかり。覚悟が必要だ」と話している。

時事通信社

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