接種ミスどう防ぐ?=重大事案70件、専門家「地道な対策を」―コロナワクチン

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、全国でミスが相次ぎ報告されている。使用済み注射器を再使用する深刻なケースも発生しており、国や自治体はチェック態勢の強化を進める。急ピッチの接種が進む中、どうやってミスを防ぐのか。専門家は「特効薬はなく、地道な対策が重要だ」と指摘する。

厚生労働省は6月22日、全国で起きた接種ミスの要因と再発防止策をまとめた事務連絡を各自治体に出した。同16日までに同省に報告された接種ミスは139件で、うち70件は注射器の再使用や希釈しない原液のままの接種など「重大な間違い」だった。福島市では、高齢者施設で使用済み注射器を使い1人に接種するミスが起きた。

注射器の再使用は肝炎など別の感染症のリスクがある。事務連絡は、注射器使用後の速やかな廃棄や、ワクチンが注射器に入っているかの接種直前の確認など具体策を挙げ、ミス防止を求めた。同省の担当者は「人間なので完全にミスをなくすことはできないが、可能な限りゼロにしていきたい」と強調する。

東京都墨田区は6月から、集団接種会場に区の看護師らを予告なしで派遣する抜き打ち検査を開始。ワクチンを注射器に入れたり希釈したりする作業が手順通りに行われているかなどを確認している。区の担当者は「現場に緊張感が生まれている」と効果を語る。

ヒューマンエラーに詳しい大阪大の臼井伸之介教授(安全行動学)は「ミスは忙しいときや疲れているとき、作業を中断したときなどに起きやすい」と指摘。作業中の人に声を掛けない配慮や、ダブルチェックの導入などを対策として挙げ、「間違いを起こしにくい環境づくりが必要。運用改善を重ねるなど地道な取り組みこそ大切だ」と述べた。

時事通信社

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