コロナ飲み薬で巻き返し=ワクチン断念の米メルク

【ニューヨーク時事】米製薬大手メルクが今月、新型コロナウイルス経口治療薬の開発で良好な臨床試験(治験)結果を明らかにした。早ければ年内に使用が許可され、世界初のコロナ飲み薬となる見込みだ。同社は米ファイザーなどが先行したワクチン開発では存在感を示せずにいたが、ようやく巻き返しに出ている。

メルクはワクチンや治療薬の開発を手掛ける世界的な大企業。米国株の代表的指数「ダウ工業株30種平均」にも名を連ねる。

コロナワクチン開発ではファイザーのほか、米新興企業モデルナの名が世界的に知れ渡った。後れを取ったメルクは、今年1月に自前のワクチン開発を断念すると表明。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチンの生産支援に回った。

メルクは今月1日、米提携会社と共同開発するコロナ経口治療薬「モルヌピラビル」が「軽・中等症患者の入院・死亡リスクを50%低下させた」との治験結果を公表。飲み薬普及への期待から1日のメルク株は急騰した。

米調査会社モーニングスターのダミエン・コノーバー氏は年内に米当局の緊急使用許可が得られるとの見方を示し、「(同薬の)来年の売上高は30億ドル(約3300億円)を超える」と試算する。

一方、米国立研究機関でウイルス免疫学を研究している峰宗太郎研究員は「コロナと闘う上で最大の武器はワクチン」と強調しながらも、「治療の選択肢増加は朗報」とメルクの飲み薬を歓迎。「医療逼迫(ひっぱく)の緩和と死者数を減らすことが可能になる」と期待を寄せている。

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