国際課税、歴史的な転換=コロナ禍で財源窮迫、合意へ加速

日米欧や中国など136カ国・地域は8日、多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールで合意した。新型コロナウイルス対策で各国は巨額の財政出動を迫られ、財源に窮したことが議論を加速させた。課税権をめぐり多くの国・地域が共通のルールを設けるのは異例で、歴史的な転換点を迎えた。

2008年のリーマン・ショック後、国際当局の間でグローバル企業の租税回避が強く意識され始めた。ただ、国の主権に関わり、利害も絡むだけに、その後の議論は「長い冬の時代」(国際金融関係者)に入った。

こうした中、日本政府は議論を主導しようと奮闘。13年5月、英国での先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、麻生太郎財務相(当時)が国際課税問題の解決を提案した。当初は「ほとんど反応なし」(麻生氏)だったが、今年に入り一気に合意への機運が高まる。

法人税の最低税率設定と、米グーグルなど巨大IT企業に対するデジタル課税の国際ルール作りへ、各国の背中を押したのはコロナ禍だ。国際通貨基金(IMF)によると、20年の世界各国のコロナ禍に関する財政出動は総額14兆ドルに上る。巨額の利益を稼ぎながら税逃れする多国籍企業への課税強化で足並みがそろう。

今年1月に「国際協調主義」の米バイデン政権が発足したことも大きい。トランプ前政権は、デジタル課税について米IT企業を狙い撃ちにしていると反発していた。

焦点だった法人税の最低税率について、経済協力開発機構(OECD)が開いた7月の交渉会合では、税率を15%以上にすることで多くの国・地域が合意。一方、低税率で企業を誘致してきたアイルランドなどは判断を留保し、調整が続いた。今月8日の会合では軽課税国に配慮し、一定水準の「適用除外」措置を設ける形で決着。出席者からは「歴史的合意だ」と称賛の声が上がった。

法人税の最低税率が適用されると、海外で軽税率の恩恵を受ける日本企業の負担が増える可能性がある。一方、各国で低税率を競う消耗戦から解放されれば、福祉や公共投資への財源確保につながる。国際課税は13日に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも議論され、国際合意は総仕上げに入る。

時事通信社

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