インフル流行兆し見えず=専門家、今後の拡大警戒―「ワクチン接種検討を」

インフルエンザワクチン接種が10月から全国各地で始まっている。新型コロナウイルスが猛威を振るった昨季はインフルが流行せず、今季も現時点で患者はほぼ報告されていない。ただ、関連学会は今季は流行の可能性があるとみており、専門家も「ワクチン接種を検討してほしい」と呼び掛けている。

厚生労働省は例年、秋から春にかけて全国約5000の医療機関から報告のあった患者数を取りまとめている。今年は9月6日から調査を始め、今月3日までの患者数は計9人。流行の兆しは見られていない。

一方、世界保健機関(WHO)によると、バングラデシュやインドなどで今夏に流行が確認されたという。海外では今後の流行を警戒する動きが出ており、英国政府は「今年は例年の1.5倍の流行になる可能性がある」として注意を呼び掛けている。

日本感染症学会は9月、「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨する」との見解を公表した。昨季に流行しなかった理由として、昨年から定着したマスク着用などの感染対策が効果を発揮したと指摘。一方で、今季について「国境を越えた移動が再開されれば、世界中へウイルスが拡散される」と懸念を示した。

見解の作成に関与したけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は、乳幼児に肺炎を引き起こす「RSウイルス」が昨年は全く流行しなかったが、今夏に大流行したことを踏まえ、「流行がないとウイルスに対する免疫は落ちてしまう」と指摘。「新型コロナの第6波とインフル流行が同時期となる可能性もある」と話す。

その上で「インフルエンザは新型コロナとの症状の見分けがつかない。ひとたび流行すれば医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が予想される。特に高齢者や乳幼児、妊婦などはワクチン接種を検討してほしい」と訴えた。

厚労省は、新型コロナワクチンと他のワクチンを「同時に接種することはできない」としており、片方を接種してから2週間の間隔を空けるよう求めている。

時事通信社

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