原発甲状腺がん、審理始まる=福島出身6人「事故が原因」―東電は関係否定・東京地裁

東京電力福島第1原発事故の放射線被ばくにより小児甲状腺がんを発症したとして、事故当時6~16歳で福島県内に住んでいた男女6人が東電に計6億円余りを損害賠償請求した訴訟の第1回口頭弁論が26日、東京地裁(馬渡直史裁判長)で開かれ、審理が始まった。

事故による放射線被ばくとがん発症の因果関係が最大の争点。6人は2013~18年に甲状腺がんを発症して摘出手術を受けたり、再発したりして進学や就職が困難になっているという。

弁論では、2回手術した原告の20代女性がついたて越しに意見陳述し、「大学を辞めざるを得ず、気持ちをどこにぶつけていいか分からなかった」などと声を詰まらせ、補償を求めた。

原告側は、福島県が当時18歳以下を対象に行ったスクリーニング検査で計約38万人のうち約300人が甲状腺がんと診断され、発症率は通常の数十倍に上ると指摘。「放射性物質が甲状腺がんの原因物質であることは学術的に確立されている」と述べた。

県の健康調査評価部会が放射線被ばくとの関連を否定している点には、事故直後に出荷制限されていなかった食品からの被ばくが考慮されていないなどと主張した。

一方、東電側は、高精度のスクリーニング検査により診断例が増加したとの「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)報告書などを根拠に因果関係を否定し、請求棄却を求めた。

時事通信社

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