貧血について -2007年7月1日掲載-

貧血とは?

貧血とは血液中の赤血球が減少した状態をいいます。赤血球は、脳、心臓など全身の細胞に酸素を運ぶ働きをしている血液成分です。赤血球にはヘモグロビンという赤色の物質が含まれているため、血液は赤っぽく見えます。このヘモグロビンが酸素の運搬という重要な役割を果たしているのです。

ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビン(タンパク質)が結合した物質で、酸素と結合し、酸素の運搬、二酸化炭素の交換などを行い、酸素を全身に行き渡らせます。

赤血球が不足すると体内の細胞が酸素不足になるため、頭痛、めまい、だるさ等の症状が現れたり、髪、爪、皮膚がもろくなったりすることがあります。

貧血の種類について

貧血には、鉄分不足による鉄欠乏性貧血が多いですが、骨髄などの異常で赤血球、白血球等の血球自体を作ることが出来ないことによる貧血(再生不良性貧血)や、赤血球の寿命が短くなることによって起こる貧血(溶血性貧血)、ビタミンB12や葉酸不足によって赤血球が成熟せずに未熟体ばかりになってしまうことによって起こる貧血(悪性貧血)などがあります。鉄欠乏性貧血以外は医師の治療を受けなければ治りにくく、時には命に係わることもあります。貧血症状を感じたら、自己判断せず、一度医師に診てもらったほうがよいでしょう。

貧血を起こしやすい方

貧血
一般的に鉄欠乏性貧血を起こしやすい方は、体の成長に伴い鉄、血液を必要とする成長期のお子様・思春期の方、また赤ちゃんに大量の酸素を送らなければならない妊娠中の方、病気(消化性潰瘍など)や事故などによって出血している方、生理で出血の多い女性の方、無理なダイエットをしている方、菜食家(ベジタリアン)などです。

私たちにできる対策法

食生活に気をつける(非ヘム鉄よりヘム鉄を)

食物に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などに含まれているヘム鉄と、野菜や海藻などに含まれている非ヘム鉄があります。ヘム鉄のほうが吸収率はよく、数倍も吸収されやすくなっています。鉄は肝臓などに貯蔵鉄として蓄えられており、不足してもすぐに貧血症状は現れません。症状が現れた場合には、貯蔵鉄が底をついたことが考えられます。

鉄は吸収率がよくないため、一度枯渇してしまうと補充しにくく、普段から鉄分を多く含む食品(レバー、ひじきなど)を効果的に摂取することが大切です。また、鉄の吸収を助け、赤血球などを作るのに必要なビタミンB12、C、葉酸や基礎となるたんぱく質などをバランスよく摂取する必要があります。

特に、貧血を起こしやすい方は、無理なダイエットは避けましょう。

鉄剤を摂る

食事から鉄分を摂ることが難しい場合には、市販のサプリメントで補うか、医師に鉄剤を処方してもらいましょう。鉄剤を一週間ほど服用すると検査値等は回復しますが、体内の貯蔵鉄を回復するのに2~6ヵ月かかりますので、しばらく継続することが大切です。

空腹時に服用すると、鉄の吸収率が上がりますが、胃を荒らすこともありますので注意してください。また、服用中は便が黒くなることがありますが、特に体の異常ではないので心配は要りません。しかし、消化器系からの出血による黒便の場合もありますので、気になる時は医師に診てもらったほうがよいでしょう。

鉄剤とタンニンとの関係について

お茶やコーヒーにはタンニンという物質が含まれています。鉄と結合してタンニン酸に変化し、体内への鉄の吸収が下がってしまうため、お茶などで服用してはならないと考えられていましたが、実は、それほど影響がないことがわかっています。吸収率が下がるのは事実なのですが、鉄剤の鉄含量も多いため、本当に微々たるもので気にしなくて構いません。