薬による有害反応(副作用) -2009年1月1日掲載-

多くの薬にはいくつかの作用がありますが、病気の治療で期待される唯一の働きは治療効果です。本質的に有害であるかどうかにかかわらず、それ以外の効果は望ましくないとみなされます。医療関係者を含め、多くの人は望ましくない効果を「副作用」と呼んでいますが、専門用語としては「有害反応」の方が適切です。

薬の有害反応のほとんどは比較的軽度で、多くは薬の服用を中止したり、投与量を変えたりすることで治まります。また服用を続けることで次第に軽快することもありますが、まれに重大な有害反応が起こることがありますので注意が必要です。何かいつもと違う体の異変に気づいたら、医師に相談するようにしましょう。

有害反応の重症度

有害反応の重症度を測定するための尺度はありません。一般的に主観的な評価により、軽度、中等度、重度で反応の程度を表します。

軽度な有害反応

軽度な有害反応とされるものには、以下のようなものがあります。

  • 消化不良
  • 頭痛
  • 疲労
  • 倦怠感
  • 睡眠パターンの変化 等

薬による有害反応
ただ、これらの症状が辛く、耐えがたいと感じている人の場合、中等度とみなされることがあります。

中等度の有害反応

その他の中等度の有害反応としては、以下のようなものがあります。

  • ヒフの発疹
  • 視覚障害
  • 筋肉のふるえ
  • 排尿困難

重度の有害反応

重度の有害反応としては、以下のようなものがあります。

  • 肝不全や不整脈など生命にかかわるもの
  • 永続的で重大な障害をもたらすもの
  • 入院を要するもの

軽度、中等度の有害反応の場合、必ずしも服用を中止する必要はありません。例えば口が渇くなどの有害反応の場合、ガムをかんだり、飴や氷をなめたり、マスクをしたりして緩和することができれば服用を続けます。また有害反応のコントロールに別の薬を使用することもあります。

重度の有害反応の場合は薬の服用をやめ、治療しなければなりません。しかしながら、ときには癌患者に対する化学療法薬や、臓器移植を受けた患者に対する免疫抑制剤など、リスクが高い薬の投与を続ける場合もあります。

薬の有益性とリスクの比較

すべての薬はよいことだけでなく、害も与える可能性があります。医師が薬を処方するときは、予想される有益性とリスクの可能性を比較検討します。有益性がリスクよりも勝っていなければ、薬の使用は正当とみなされません。また医師は、薬を使用しない場合に起こりうる結果についても検討します。しかし、有益性とリスクの可能性を数学的正確さで測ることはまず不可能です。

薬の有益性とリスクの判定は、治療中の病気の重症度と、患者の生活の質に及ぼす影響を考慮します。軽い風邪等の病気の場合はリスクの低い薬を使い、心臓発作・脳卒中などの生命にかかわる深刻な症状の場合は、リスクが高い薬を使うこともあります。

有害反応は、薬を服用する本人の使い方によっても起きやすくなります。

有害反応が起きやすい使い方

  • 薬を医師の指示より多く飲む
  • 用法を守らない
  • 薬と影響がでる飲み物で服用する

また、複数の薬を併用することでも有害反応が起きやすくなりますので、他の医療機関にかかる場合等で、併用薬があれば医師・薬剤師に伝えるようにしましょう。
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