痔について -2024年1月31日掲載-

痔とは?

痔とは肛門周囲の病気の総称でいぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔ろうと3種類に分けられます。

いぼ痔(痔核)

肛門の内外にいぼ状の腫れができます。肛門内にできるものを内痔核、肛門外にできるものを外痔核といいます。排便時などにいきむことで圧力がかかり、肛門の血流が悪くなります。繰り返すと毛細血管がうっ血(血が溜まった状態)して腫れあがり痔になります。内痔核は痛みを感じない場合が多いですが、外痔核の多くは強い痛みを伴います。また、内痔核が大きくなり肛門外に飛び出した状態を脱肛といいます。

切れ痔(裂肛)

肛門の出口付近の皮膚が切れた状態をいいます。便秘による硬い便の通過や、下痢便の勢いが原因で起こります。排便時に強い痛みを感じることがあります。

痔ろう

肛門の皮膚組織に膿の管ができた状態をいいます。下痢などが原因で肛門周囲の皮膚組織に細菌感染が起こり、慢性化すると発症します。発熱や強い痛みを伴う場合があります。目に見える膿を取り除いても膿の管が残っていると症状を繰り返します。

痔になりやすい人は?

長時間同じ姿勢で仕事をされる方

痔について
デスクワークなどで座った状態を続けると肛門付近の血流が悪くなり、うっ血して痔を引き起こします。立ち仕事でも筋肉を動かさないことで血行不良になり痔になることがあります。

ストレスが多い方

ストレスが多いと大腸のぜん動運動が正常に行われなくなります。スムーズに排便ができなくなることで痔を引き起こします。またストレスにより免疫機能が低下し、細菌感染によって痔を引き起こす場合もあります。

煙草、お酒が好きな方

煙草に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなり、うっ血して痔を引き起こします。
反対にお酒は血行を促進します。血行促進は一見健康に良さそうに思えますが、一時的に血液量が増加すると増えすぎた血液を心臓に戻す働きが追いつかず、肛門付近に血液が溜まります。その結果、うっ血して痔が発生してしまいます。また過度の飲酒は下痢の原因にもなりよくありません。

香辛料が好きな方

唐辛子や胡椒などの刺激が強いものが好きな方も痔になるリスクがあります。特に唐辛子は消化されずそのまま排泄されるため、排便時に肛門付近を傷つけ痔を引き起こします。

早期治療が大切

痔の症状がある方は早めに受診することが大切です。恥ずかしさから受診せずそのままにしておくと痛みや出血で日々の生活に支障をきたすことになります。また受診が遅れることで治療期間が長くなったり、手術が必要になる場合もあります。さらに痔と思っても別の重い病気である可能性もあります。症状がある方は一度は専門医の診断を受けるようにしましょう。

痔と間違いやすい病気

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • クローン病

いずれも出血を伴う病気で、痔と症状と似ていますので要注意です。

痔を予防するには?

痔を治療して治ったとしても生活習慣が変わらないと再発してしまいます。ここでは痔を予防するための注意点を解説します。

食生活を見直す

一般的に健康に良いとされる食習慣は痔の予防にもなります。食物繊維をしっかり摂ることで便秘を解消させます。喫煙、飲酒、刺激物の摂取は控えめにしましょう。

適度に運動する

運動は大腸のぜん動運動を促進させることで排便を促します。また肛門周囲の血行を改善させることで、痔核を予防する効果もあると考えられます。

毎日入浴する

湯船に浸かることで身体が温まり、肛門周囲の血行を改善させることで痔を予防します。リラックス効果もあるためストレス解消にもつながります。

排便時間は短く

排便時はいきみすぎないように注意しましょう。そのためにも排便は便意のあるときに行いましょう。

おしりは清潔に

肛門が不潔だと細菌が繁殖します。清潔な状態を保つよう心がけましょう。
排便後にウォシュレットで洗浄するのは効果的ですが、強い水圧で長時間洗浄すると痔を引き起こすこともあります。洗いすぎにも注意が必要です。

最後に

痔は症状が悪化するまで放置されがちな病気ですが、早い段階で治療を開始することで治りも早く、治療費も抑えられます。もし痔かもしれないと思ったらすぐに行動することをお勧めします。