避難所と認知症 -2024年2月29日掲載-

大地震や津波など、ある日突然災害に巻き込まれた時、多くの方が恐怖や不安を抱えながら避難所で過ごすことになります。
その中には、認知症の方や、その他支援が必要な方も少なくありません。
健康な方でも不安になる避難所生活のなかで、認知症の方とご家族が少しでも安心して過ごせるように、認知症の方に対して気をつけてほしい点をぜひ参考にしてください。

ざわめき・雑音のストレスから守る

避難所と認知症
人の動きや出入りが多い、雑音が多いところにいると落ち着きません。
奥まったところや出入口から離れたところなど、ざわつきや雑音が比較的少ない場所を確保しましょう。
本人となじみの人が近くにいると、より安心できます。

ペースを落としてゆったり話す

あわただしい雰囲気や口調は、本人を混乱させます。
急いでいる時、緊張している時こそ、一呼吸入れて、力をぬいて、ゆったりと言葉をかけましょう。
一度にたくさんではなく、短い文章でひとつひとつ伝えましょう。

わかりやすく情報を伝える

本人なりに不安に思っているので、わからないだろうと思って何も説明をしないと余計に混乱します。
記憶や判断力が低下していたり、会話が困難な人であっても、今の状況をわかりやすく説明しましょう。(自分たちがいる場所、現在の日時、食べ物が配布される予定など)
「氏名、住所、連絡先、家族の氏名」などを書いたメモを本人に身につけてもらいましょう。福祉避難所への移動も視野に入れて、病歴や服用している薬なども書いておくことも大切です。

飲食、排泄、睡眠の確保

飲食、排泄、睡眠など、声かけや見守りがないと一人で適切にできなくなり、認知症の症状や体調が悪化しがちです。
本人が飲食できているか確認し、限られたものをしっかり摂取できるように気をつけたり、また、睡眠リズムが乱れやすいので、眠る・起きるタイミングをつかめるように声かけをしましょう。
その場合、本人が安心できるように指示口調にならないようにしましょう。

少しでも「快の刺激」を

不快感がつのると、落ち付きがなくなり、苛立ちを抑えきれなくなりがちです。
時折、外の空気に触れて深呼吸するなどして、リフレッシュしましょう。
手足・首筋・腰等を温めることで、落ち着ける場合もあります。
また、本人の好きな歌、なじみの歌、わかりそうな歌を口ずさんだり、一緒に歌ってみるのもよいでしょう。

体を動かす

じっとしたままだと、筋力の低下や血流の滞りが起こったり、また、風邪などにかかりやすくなります。
同じ姿勢が続かないように、時々姿勢を変えたり、体を動かすように声かけしましょう。
一人でできない場合は、お手本を見せたり、手助けをしてあげるとよいでしょう。

落ち着かない場合は

声を上げる、立ち上がる、動き回ろうとする場合、無理に抑えようとするのは逆効果です。
本人なりの理由があるはずなので、どうしたいのか優しく尋ねてみましょう。
要望に応えられない場合も否定せず、まずは親身に聴き取りましょう。
苛立ち、興奮等が高まった場合は、反応を見ながら接し、関わる人を限定するとよいかもしれません。

家族や介護職員の方にも解放される時間が必要

家族や職員は、本人から目を離せず、周囲に気を使い想像以上に消耗しがちです。
周囲の人たちに、本人への理解と協力をお願いしましょう。
家族や職員も、自分たちの飲食や休憩、仮眠などの時間が必要です。そんなとき安心して離れるためには周囲の支えが必要です。
やむを得ず目を離したすきに、本人が避難所から行方不明になったケースがあります。
短時間でもよいので誰かに見守りを交代して協力してもらえるようにしましょう。

このように、ちょっとした配慮で、認知症の方、そして家族や周りの負担を軽減できることがあります。少しでも安心して過ごせるように、どうぞ試みてください。
現在、避難所で生活されているみなさんが一日も早く普通の生活に戻れますように願っております。