薬とアルコール -2006年10月1日掲載-

「百薬の長」といわれるお酒。適量のアルコールは緊張をほぐし、食欲を増進させ、血のめぐりを良くして疲労回復に役立ちます。また最近の研究では、善玉コレステロールを増やすことで心臓病や脳梗塞の予防になることがわかってきました。しかし、これはあくまでも「適量」を飲んだ場合のこと。「適量」とはビールなら大瓶1本、日本酒なら1合まで、といったところでしょうか。

さて、このアルコール。お薬を服用している場合は注意が必要です。精神安定剤や睡眠剤、またある種の抗うつ剤などはアルコールを同時に摂取すると、脳や神経の働きを抑える作用が強く現れ、副作用が起こりやすくなります。抗ヒスタミン剤などアレルギーの薬でも脳や神経を抑制する作用が強くなるので要注意です。また、アルコールには血管を拡げる作用があるため、血圧の薬を服用している場合には、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。インスリンの注射や血糖を下げる薬を服用している場合も注意が必要で、低血糖を起こし意識を消失することがあります。

アルコールは肝臓で酵素によって分解されますが、ある種の薬ではお酒を一緒に摂取するとアルコールの分解のために酵素が使われてしまい、薬の分解が通常よりも遅れて作用が強く現れることがあります。逆に日頃お酒をたくさん飲む人の場合には薬が効きにくくなることもあります。お酒をたくさん飲む人はアルコールを分解するために常に酵素が働きやすい状態になっているので、薬もすぐに分解されて効果が弱まってしまうためです。「大酒のみは麻酔がかかりにくい」って言いますよね。

このようにアルコールはお薬の作用に影響します。お酒を飲まれる方は、薬局でお薬を貰われる際には、薬剤師にご相談ください。