貧血の薬 -2007年1月1日掲載-

貧血は、赤血球の中にあるヘモグロビンが不足したり、赤血球そのものが減少したりすると発症します。貧血の中で最も多いのが鉄欠乏性貧血で、ヘモグロビンの材料である鉄の不足によって起こります。偏食や無理なダイエットによる鉄分の摂取不足、妊娠中や授乳期における鉄の必要量増加、出血による鉄の喪失などが鉄不足の主な原因としてあげられます。

体内にある全ての鉄を集めると大体4~5g、普通の釘1本分くらい。そのうちヘモグロビンの材料として使われている鉄は3~4g、残り1gは肝臓などに貯蔵されています。体内で鉄が不足した場合にはこの貯蔵鉄を使用するので、すぐに貧血になることはありませんが、不足の状態が続くと貯蔵鉄も失われ貧血が起こります。こうなると食品に含まれる鉄分で不足を補うことは難しく、鉄剤で治療しなければなりません。ちなみに50mgの鉄を含む鉄剤1錠は鶏レバー約500gに相当しますから鉄欠乏性貧血での鉄の補充はお薬で行うのが現実的です。服用を始めると1~2ヶ月でヘモグロビンは正常値に戻ります。しかし貯蔵鉄を回復させるには更に1~2ヶ月の服用が必要です。貧血の症状が改善されても医師の指示があるまで続けて服用してください。鉄剤は飲み続けた場合でも、体内の鉄の量が十分になると腸からの吸収が抑えられるので、過剰摂取は起こりにくいと考えられています。

また、鉄剤はお茶などに含まれるタンニンと結合すると腸からの吸収が落ちるので、服用の前後1時間ぐらいはお茶を飲まないほうがよいとされていますが、鉄剤に含まれる鉄の量はかなり多いのであまり神経質になる必要はありません。他にもお薬によっては鉄剤と一緒に服用しないほうが良いケースがあります。詳しくはかかりつけの薬剤師にご相談ください。