うつ病の薬 -2007年8月1日掲載-

気分が滅入る、何をやっても楽しくないなどといった状態になることは誰にでもありますが、時としてその状態が強く、また長期にわたり現れ日常生活に支障が出ることがあります。それが「うつ病」です。

うつ病はストレスなど何らかの理由で、脳の神経伝達物質の量が減少して、思考や感情が鈍くなることで引き起こされると考えられています。主な症状には、気分が落ち込む、やる気がなくなる、判断や決断ができない、自分を責める、睡眠障害、頭痛・肩こり・腰痛、疲労感、動悸・息切れ・めまい、食欲不振・胃の不快感、腹痛・下痢・便秘などがあります。

うつ病は専門医による適切な治療で回復し、克服することが可能な病気です。治療の基本は十分な休養と薬物療法です。治療の中心となる「抗うつ薬」は、脳内の神経伝達物質の量を増やすことで情報伝達を活性化して気分を晴れやかにしたり、不安や焦りなどの症状を軽減したりします。

どの種類の抗うつ薬も大体同じような治療効果が認められていますが、副作用はそれぞれ違うため状況に応じて薬を選択することが重要です。初めは少量から服用を開始し、副作用を見ながら徐々に量を増やして有効量まで増量していきます。この増量の過程で副作用が問題となれば別の薬に替えることもあります。

抗うつ薬は効果が現れるのに多少時間がかかります。効き目がないとか、症状が良くなったと、自己判断で服用を中止するのはよくありません。うつ病の回復にはある程度の時間が必要で、じっくり気長に治療することが大切です。また、回復後も再発予防のためにしばらくは薬の服用を続け、元の状態に戻ったのを確認してから徐々に服用量を減らしていく必要があります。自己判断は禁物ですので、医師・薬剤師にご相談下さい。