「尿失禁」の薬 -2007年11月1日掲載-

『排尿の意思がないのにトイレ以外の場所で尿が出てしまう』これが尿漏れです。40~50代の女性に多く大きく分けて『腹圧性尿失禁』『切迫性尿失禁』、そして両方の症状を併せ持つ『混合性尿失禁』の3つがあります。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、重いものを持ちあげたりして強い力(腹圧)がかかることで、膀胱や子宮などの臓器を支える骨盤底筋が膀胱と尿道を支えきれず尿道の締りが悪くなって起こります。骨盤底筋は出産、肥満、老化等で弱くなったり傷んだりします。そこで、骨盤底筋を鍛える体操が治療の中心となります。薬物療法では膀胱のリラックス作用と尿道の締りをよくする作用があるβ受容体刺激薬を用います。この薬は主に喘息治療薬として用いられてきたもので、稀に動悸や手の震えなどが起こることがあります。その他、手術で尿道を吊りあげる方法やコラーゲンを注入して尿道の筋肉を強くする方法などもあります。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁は、少量の蓄尿や冷え、水に触れるなどの刺激に対し膀胱の知覚神経が過敏に反応して起こるもので、年齢と共に頻度が高まります。治療の中心は薬物療法で、抗コリン薬で膀胱の筋肉の緊張をほぐし、尿を大量に蓄えられるようにし、更に膀胱の収縮を抑えることで突然の尿漏れを防ぎます。この薬では、時に口の渇き、便秘、目のかすみがみられることがありますが、ある程度続けて服用することが必要です。そのため不快感(我慢できる程度)があった時や、症状が軽減した時でも、自己判断で中止せず必ず医師の指示に従って正しく服用することが大切です。また尿量に合わせた水分摂取量の制限や、排尿間隔を長くして膀胱の容量を増やす訓練も良いと言われています。

「尿失禁」でお悩みの方はかかりつけの医師、薬剤師にご相談ください。