痛み止めについて -2009年10月1日掲載-

痛み止めには、注射、内服薬、湿布、塗り薬、坐薬など色々な種類があり、痛みの強さや原因、症状に合わせ使い分けられます。なかでも内服薬の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)は、頭痛や生理痛、足腰の痛みなどに幅広く使用されています。

炎症や痛みは壊れた組織を修復する生体の防衛反応の一種ですが、過剰になると不快な症状が現れます。

炎症や痛みには体内で作られるプロスタグランジンという物質が関係します。プロスタグランジンはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によって作られます。NSAIDはCOXの働きを抑えてプロスタグランジンを減少させ、消炎・鎮痛効果を現します。

ところが、プロスタグランジンには消化管粘膜(胃の粘膜)の保護をする働きもあるので、NSAIDでプロスタグランジンを減少させると胃が荒れたり、ひどい場合は胃潰瘍を引き起こしたりします。そのため、NSAIDが処方されるときには、胃の粘膜を保護する胃薬も一緒に処方される事があります。

最近の研究で、COXのなかでも、消化管粘膜を保護するプロスタグランジンが作られる際は“COX-1”という酵素が関係し、痛みや炎症の原因のプロスタグランジンが作られる際は“COX-2”という酵素が関係している事がわかってきました。

つまりCOX-2の働きのみを抑えることができれば、胃粘膜を保護したまま消炎・鎮痛効果が期待できます。このような特徴を持つNSAIDは医療用で既に使われており、今後は消炎・鎮痛薬の主流になっていくと考えられます。

また、NSAIDには速効性のあるものや、長時間効果の持続するものなどがあります。痛み止めの副作用等でご心配なことがありましたら、かかりつけ薬局の薬剤師にご相談下さい。