細菌性髄膜炎予防ワクチン -2011年12月15日掲載-

細菌性髄膜炎は、主に5歳未満の乳幼児がかかる病気で、命に関わります。日本では毎年約1,000人の子供が発症し、特に0歳が約50%を占めます。

主な原因は、肺炎球菌とHib(インフルエンザ菌b型)という多くの子供の鼻や喉にいるごく身近な菌で、肺炎や敗血症、中耳炎などを引き起こします。

なかでも脳や脊髄を覆っている髄膜に侵入して炎症を起こすのが髄膜炎です。後遺症には、聴覚障害や発達障害など神経学的障害がみられます。治療には早期診断が大切ですが、初期症状が急な発熱や嘔吐など風邪に似ているため、早期診断が困難です。また、耐性菌が増えているため治療も難しくなっています。

そこで、Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンが開発されました。この2つが細菌性髄膜炎予防ワクチンです。どちらの菌で感染するかわからないため、両方とも接種することが大切です。

海外では、10年以上前から導入され、世界100カ国以上で使われており、それらの国では細菌性髄膜炎はすでに過去の病気となっています。日本でも、今年の2月より公費助成で接種できる事業が始まっています。詳しくは、小児科の先生にお尋ねください。

これらのワクチンは、生後2カ月を過ぎたらできるだけ早く接種を始めることが推奨されております。理由は、前述のように発症が0歳児に最も多いからです。

基本スケジュールは0歳代で3回接種した後、1歳代で1回接種となります。0歳代のワクチン接種の回数は大変多いため、同時接種も有効な手段です。日本小児科学会も推奨しています。

細菌性髄膜炎は誰でもかかりうる病気です。かけがえのない子供たちの命を守るためにも、早めのワクチン接種をご検討ください。