アルコール依存症とその治療薬 -2013年12月19日掲載-

アルコール依存症はお酒を飲む人なら誰でも発症する可能性のある病気です。
お酒を飲みたいという欲求が強く、飲酒のコントロールができない精神依存と、お酒をやめるとイライラや不安が強くなり、手の震えや不眠など様々な症状が現れる身体依存があります。

自分の意志だけでお酒をやめることは困難で、治療薬が必要となる場合があります。

治療薬は2種類あり、一つは肝臓で作用する抗酒薬です。
この薬はアルコールが代謝されてできる二日酔いの原因となる物質(アセトアルデヒド)を増やし、ひどい二日酔い状態を作り出すことで、お酒に対する嫌悪感を強くさせます。

もう一つは脳に作用する断酒補助薬で、お酒を飲みたいという強い欲求を抑える働きがあります。
脳内には脳の興奮に関わる物質(グルタミン酸)と脳の抑制に関わる物質(GABA)の2つの神経伝達物質があり、通常は釣り合った状態になっています。

しかし、アルコールを摂取すると、グルタミン酸が弱まり、GABAが強くなって脳の機能が抑制され、眠気やふらつきなどの症状が現れます。
これが酔っ払うという状態です。
大量飲酒を長く続けるとグルタミン酸がGABAより多くなり、バランスが崩れます。
そのバランスを取るためにお酒を飲みたいという欲求が強く出てきます。これがアルコール依存症のメカニズムと考えられています。

そこで、グルタミン酸を抑え、このバランスを戻そうとするのが断酒補助薬です。
断酒補助薬での治療には、カウンセリングなどの心理社会的治療を一緒に行う必要があります。

アルコール依存症は大量飲酒を長い間続けることで進行します。
飲みすぎは様々な生活習慣病の要因ともなるので注意しましょう。