むかつきの原因 逆流性食道炎 -2008年6月1日掲載-

逆流性食道炎とは

胃酸が食道に逆流して食道を刺激することで炎症を起こす病気です。胃酸はペプシンという成分を含み、この成分が食品中のたんぱく質を分解する働きがあります。当然人体もたんぱく質でできているため、そのままでは胃酸によって分解されてしまいます。胃の内側には、このペプシンから身を守るためのペプシノーゲンという成分があります。この成分のおかげで、人は自分を消化することなく、食べたものだけを消化することができるのです。

一方、食道にはこの防御機能がありません。そのため、何かの原因で胃酸が逆流してしまうと、食道は胃酸によって消化されてしまうことになります。この症状が逆流性食道炎です。

どのような症状が出る?

逆流性食道炎
ほとんどの方で以下の症状があらわれます。

  • かがんだ時や食後・朝起きた時にむかつく
  • 夜中に咳・げっぷが良く出る
  • 喉にすっぱい水(胃液)があがってくる

症状が進むと胸焼けから痛みに変わり、常に出血しているような状態になるので、貧血の症状がでたりして、食道ガンに進行することもあります。

どのような人がなりやすい?

高齢者
高齢者の方は、胃の入り口の筋肉が緩みやすく、胃酸が逆流しやすくなります。食道の働きも弱くなるので、逆流してきた胃酸が胃に戻されず長時間食道にとどまることになり、症状が発生しやすくなります。
肥満体質の方
内臓脂肪によって胃が圧迫を受けるので、胃酸が逆流しやすくなります。また脂っこいものばかりを摂っていると胃酸の分泌も過剰となり、胃酸が逆流しやすい状態を作ることになります。
ピロリ菌の除菌を受けた方
ピロリ菌を除菌する際に胃酸分泌を強く抑える薬を服用されますが、この薬をやめた時に、反動で胃酸分泌が過剰になることがあります。薬を徐々に弱くしていくことでこの反動を少なくすることができるので、自己判断で服用を中止せず、医師の指示に従って服用しましょう。

診断について

ほとんど自覚症状で予測することができますが、正確な診断には内視鏡の検査を受けていただく必要があります。検査によって潰瘍やびらん(ただれ)が認められれば逆流性食道炎と診断されます。

治療について

基本的には胃酸分泌を抑える薬を服用することになります。その他、補助的に胃腸の動きを良くする胃腸薬や、胃酸を中和する薬などが処方されることがあります。

この病気は生活習慣が原因で起こっていることが多いので、薬を服用して治ったとしても、生活習慣を改めないと再発してしまう可能性があります。

日常生活では、以下のことに気をつけてください。

姿勢、服装に気をつける
前かがみの姿勢やベルト等でおなかを強く締めるなど、おなかを圧迫するような行動をとらないようにする。圧迫することで胃酸が逆流しやすくなります。
食べた後すぐ横にならない
胃酸が逆流しやすいので、食後1~2時間は横にならないように心掛けてください。
食べるものに注意
脂肪分を多く含むものを食べると、胃はそれを分解するために胃酸をより多く出そうとします。食べるものに気をつけると共に、食べ過ぎにも注意する必要があります。また香辛料、コーヒー、アルコール、タバコ等も胃を刺激して胃酸分泌を促進することがあるので注意する必要があります。