帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは -2008年11月1日掲載-

帯状疱疹と水ぼうそうの関係

帯状疱疹は、水ぼうそうを起こす原因ウイルスと同じ水疱(すいとう)・帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルスの一種)によって起こる皮膚の病気です。このウイルスにはじめて感染したときは水ぼうそうとして発症します。水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは体内の神経節(神経の細胞が集まった部分)に潜んでいます。そしてウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。免疫力が低下する原因は、過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、加齢などがあります。

50歳以上に多く見られる病気ですが、過労やストレスが引き金となり、20~30歳代の若い年代に発症することも珍しくありません。

症状は痛みから始まることが多い

帯状疱疹
帯状疱疹は神経の通っている部分に、それも身体の左右どちらかに帯のように現れるのが特徴です。
ピリピリチクチクした痛みから始まり、しばらくするとその部分にやや盛り上がった赤い斑点があらわれ、やがて水ぶくれになります。水ぶくれは破れてただれた状態となり、かさぶたへと変わります。
全体の半数以上が上半身に発症し、胸から背中、腹部に多くみられます。顔面にある三叉(さんさ)神経に沿って現れる場合は顔面神経麻痺を伴うこともあります。この他、腕、足、おしりなどにも現れます。

帯状疱疹後神経痛

痛みが始まってから水ぶくれが治るまでの間は通常約3週間~1ヶ月です。痛みは水ぶくれが治る頃には消えますが、治ったあとも長期にわたって痛みが持続することがあります。これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、高齢者に多いものです。急性期の痛みは皮膚や神経の炎症によるものですが、帯状疱疹後神経痛は急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって起こります。帯状疱疹後神経痛が残った場合は、ペインクリニックなどで専門的な治療が必要になる場合があります。

治療の基本は抗ウイルス薬

帯状疱疹の治療の中心となるのは抗ウイルス薬です。抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることにより、治るまでの期間を短縮します。できるだけ早期から抗ウイルス薬を使うことで症状の悪化を防ぎ、皮膚や神経のダメージを軽くする効果が期待できます。神経がまだ破壊されてない初期の段階で使用すれば、帯状疱疹後神経痛の予防も期待できます。

また必要に応じて、消炎鎮痛剤が使われたり、痛みがひどい場合は神経ブロックを行って痛みを止める治療が行われることがあります。神経ブロックとは、局所麻酔剤を用いて神経の流れを一時的に遮断する治療法です。

日常生活の注意

十分な睡眠と栄養をとりましょう

帯状疱疹になるのは疲れやストレスで体の抵抗力が低下している証拠です。精神的・肉体的な安静を心掛けることが回復への近道です。

患部を冷やさないようにしましょう

患部が冷えると痛みがひどくなります。できるだけ温めて血行をよくしましょう。

水ぶくれは破らないように気をつけましょう

水ぶくれが破れると、細菌による感染が起こりやすくなります。細菌による化膿を防ぐためにも、患部を触らないようにしましょう。

他人にうつる可能性

帯状疱疹が他の人にうつることは、あまりありません。しかし水ぶくれの中には原因となるウイルスがいて、水ぼうそうにかかったことのない人には水ぼうそうを発症させる可能性があります。

水ぶくれが治るまでは、水ぼうそうにかかっていない赤ちゃんや子供、妊婦には接触しないほうがよいでしょう。

再発の可能性

通常では、一度帯状疱疹にかかると、免疫力がついて再発することはほとんどありません。しかし、免疫力がひどく弱ったときなど、再発する人もごくわずかですがいます。

日頃から栄養と睡眠を十分にとり、適度に運動を行うなど、心身の健康に気を配り体力を低下させないことが最も大切です。
マルホ株式会社「帯状疱疹こんな病気」