お子さんへのお薬の飲ませ方 -2015年8月31日掲載-

みなさんは、お子さんにお薬を飲ませる時に困ったことはありませんか?

当薬局は小児科の近くにあり、毎日お話ししていると、お薬が上手に飲ませられず困っているお母さんがたくさんいらっしゃいます。

行き詰まっている多くのお母さん方は「何に混ぜたら飲めるようになりますか?」と口を揃えておっしゃいます。みなさん薬が飲めるようになる奇跡の食材を探していらっしゃいますが、そうおっしゃる方はたいてい様々な食べ物で挑戦した後なので、なかなか奇跡は起こせません。

そもそも、薬の存在を隠す目的で食べ物に混ぜるという方法が通用するのは、味覚が完成する前の乳児期までです。

最初に、お子さんがお薬を上手に飲めるようになるために一番大切なことがあります。
まずはしっかりと、お薬を飲む意味を教えてあげることです。
お薬はおいしいものではないけれど、今の病気を治すために頑張って飲む必要があることを何度も話してあげてください。そして、お薬を飲むことができたら、お子さんを思い切り褒めてあげてください。

お薬を飲ませるタイミング

赤ちゃんの場合は、飲ませるタイミングにもコツがあります。
まだ母乳(ミルク)のみの時期と離乳食が始まる頃の月齢では、大きく生活リズムが異なると思います。だからこそ、お薬も赤ちゃんのリズムを中心に考えるようにしましょう。

  1. 「食前・食後」にとらわれず、「何時間空けるべきか」を知っておく
    お薬の指示が食後となっていても、食事の前後で効果が変わらないお薬はたくさんあります。あらかじめ食事の影響を受けるかどうかを薬局で聞いておきましょう。
    例えば1日3回飲むお薬なら4~6時間程度、1日2回なら6~8時間程度の間隔をあければ問題ありません。
  2. 母乳(ミルク)や離乳食の後は満腹で、お薬を嫌がる場合がある
    お腹がいっぱいでお薬を嫌がる場合は、食事の前やお腹がすいている時の方がうまくいきます。食前やお腹がすいている時に飲んでよいお薬かどうか確認しておきましょう。
  3. 水分を欲しがる時はお薬を飲ませるチャンス!
    飲ませるタイミングが難しい赤ちゃんには、寝起きやお風呂上りなど、水分を欲しがるタイミングを見計らってお薬を飲ませてみてください。

お薬を飲ませる工夫

赤ちゃんによく処方されるシロップ剤は、甘みの強いものが多いです。
甘すぎて飲みにくい場合がありますので、湯冷ましで薄めて飲ませてあげるのも良いでしょう。その場合は、必ず飲み切れる量に調整することが大切です。

粉薬が処方された場合は、湯冷ましで溶かしてシロップ状にするか、もしくは粉薬に湯冷ましを1滴ずつ落としてちょうど良い堅さのペースト状に練り、頬の内側に塗って水分を飲ませる方法を試してみてください。

モチベーションを上げるには

ミルクを卒業して様々な食材を食べるようになると、徐々に味覚が完成されていきます。
そうすると、赤ちゃんの時は嫌がらずに飲めていたお薬を急に嫌がるようになったりして、困っているお母さんは多いですよね。

ごまかしてお薬を飲ませることが難しい幼児期に、お薬をスムーズに飲ませるポイントは、「モチベーションを如何に上げるか」です。まずは、冒頭でもお話ししましたが、お薬をどうして飲まなくてはいけないのかを繰り返し教えてあげてください。そして、頑張ってお薬を飲む気になれるように、お子さんのモチベーションが上がるような方法を考えましょう。

  1. ご褒美を用意する
    お薬を飲めたら大好きなジュースを飲ませてあげるなど、頑張ったご褒美を与える方法は特に効果的でしょう。また、大好きな色やキャラクターのスプーンやストローを使うなど、道具選びにもヒントはあると思います。
  2. 環境を変えてみる
    いつもお薬を飲む環境が同じだと、お子さんは条件反射的に嫌がる場合もあるでしょう。
    例えばいつもお母さんが飲ませているのを、お父さんやおばあちゃんにしてもらう、いつもとは違うお部屋で飲ませてみるなど、環境を変えることでお子さんが薬を飲んでくれるかもしれません。

飲みあわせの注意

お薬には一緒に摂ると相性の悪い食べ物があります。
例えば、マクロライド系と呼ばれる抗生剤(クラリスロマイシンやアジスロマイシン)は、酸味のある飲食物(フルーツジュースやヨーグルト、スポーツドリンクなど)に混ぜるとお薬のコーティングが剥がれてしまい、とても苦くなってしまいます。
テトラサイクリン系の抗生剤(ミノマイシンなど)やニューキノロン系の抗生剤(オゼックスなど)は、牛乳と一緒に飲むとカルシウムがお薬にくっついて吸収されにくくなり、お薬の効果が出にくくなります。

お薬を上手に服用する上で注意するべきことはお薬の種類によって異なりますので、気になることがありましたらお近くの薬局で薬剤師にご相談ください。