生理痛について -2018年11月30日掲載-

月経のしくみ

月経周期(月経が始まってから次の月経がくるまでの期間)は、1.卵胞期 2.排卵期 3.黄体期 4.月経期の4つに分けられます。

1.卵胞期

卵巣の中で卵胞が成長し、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増えます。卵胞ホルモンは子宮内膜(受精卵が着床するためのベッド)を増殖させ、妊娠の準備を進めます。

2.排卵期

排卵前になると、精子がスムーズに子宮にたどり着けるようおりものの量が増えます。
卵胞ホルモンの分泌量がピークに達すると、卵胞から卵子が放出されます。このとき、人によっては下腹部に痛みを感じたり、少量の出血を起こしたりすることがあります。
排卵前3日~排卵後1日までが、最も妊娠しやすい時期と言われています。

3.黄体期

排卵後の卵胞は、黄体という組織に変わり黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。黄体ホルモンは受精に備え、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜をふかふかにします。黄体ホルモンは、乳腺を発達させたり体に水分を溜めこんだりする作用もあるため、乳房が張る・体がむくむ・便秘になるなどの症状が出ることがあります。また、ホルモンが大きく変動することにより、イライラ・憂鬱などの精神症状が出ることもあります。
生理1週間ほど前から始まり、月経開始とともに軽減・消失するこれらの不調を、月経前症候群(PMS)と呼びます。

4.月経期

妊娠が成立しなかった場合は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が減り、不要になった子宮内膜が剥がれて月経となります。プロスタグランジンという物質の分泌が増え、子宮を収縮して経血の排出を促します。
プロスタグランジンの分泌量が多すぎると子宮が強く収縮してしまい、痛みを引き起こします。プロスタグランジンは胃腸に作用して吐き気や下痢、血管を収縮させて冷えや腰痛を引き起こすこともあります。

月経痛を和らげるには?

入浴や足湯、軽い運動・ストレッチなどで体をあたため、下半身の血行を良くすると痛みが和らぐことがあります。

痛みが強い場合は、我慢せず早めに痛み止めを服用してください。痛み止めは、痛みの原因であるプロスタグランジンの合成を抑えることにより効果を発揮します。無理に我慢を続けてプロスタグランジンが大量に分泌されてから服用しても、効果が十分に出ない可能性があります。

低用量ピルはホルモンの量を安定させて排卵をコントロールするので、月経痛だけでなく月経前症候群(PMS)も軽減されます。服用には医師の診断と処方が必要です。

血行不良や血液の不足を改善し、月経痛を和らげる効果をもつ漢方薬もあります。医師または薬剤師にご相談ください。

月経困難症とは

日常生活に支障をきたすほど月経痛が強い場合は「月経困難症」と呼びます。
月経困難症には2種類あります。

1.機能性月経困難症(原因となる病気がない)

若年女性に多く、成長とともに軽減することもあります。

2.器質性月経困難症(何らかの病気が隠れている)

子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などを原因として起こる症状です。子宮内膜症は10人に1人、子宮筋腫は4~5人に1人の割合で起こると言われています。

痛み止めが効かないほど痛みが強い、経血量が多い、出血が10日以上続く、レバーのような塊が出る、排便時肛門の奥が痛むなどの症状がある場合は、病気が隠れている可能性があります。心当たりがあれば婦人科を受診してみてください。