ナトリウムとカリウムの血圧への影響について -2022年1月31日掲載-

高血圧患者の現状とリスク

現在、日本の高血圧患者数は約4,300万人と言われており、日本人の約3人に1人ということになります。高血圧患者の85~90%は本態性高血圧であり、遺伝的要因と環境的要因(食生活や運動不足、ストレスなど)の両方が関与しています。日ごろから生活習慣に注意することで、高血圧は予防できるのです。
血圧が上がる原因の一つとして、食塩に含まれるナトリウムが挙げられます。ナトリウムは血管内に水分を引き寄せ血圧を上げる役割をしています。塩分の摂り過ぎが高血圧に繋がるとよく言われるのは、そのためです。
高血圧が続くことにより動脈硬化が起こり、脳卒中、心筋梗塞、腎障害などを発症するリスクが高くなります。健康寿命を延ばすためにも、高血圧をしっかりと予防しましょう。

塩分摂取量と目安

日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、男性10.1g、女性9.3gです(令和1年の調査による)。これに対して、塩分摂取量の目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満となっており、私たちの塩分摂取量が目安よりはるかに多い事が分かります。また、疾患のある方はさらに低く抑える必要があります。高血圧患者は6g未満、腎臓病患者は3~6g未満、人工透析患者は6gと目標値が設定されています。なかなか難しいかもしれませんが、日ごろから塩分を意識的に控えましょう。
ナトリウムとカリウムの血圧への影響について

〈減塩するための食事の工夫〉

  • 塩分に頼らない味付けにする
    カレー粉、コショウなどの香辛料、ねぎ、しょうが、にんにくなどの香味野菜、酢やレモンなどの酸味を加えることで、塩分の多い調味料の使用を抑えることができます。
  • みそ汁、スープなどは具材を多めにして、汁の量を少なくする
  • うどん、ラーメンなどの麺類の汁を残す
  • 減塩調節調味料を使う
    しょうゆ、味噌など減塩タイプのものが多く販売されています。
  • 旬の食材を使う
    旬のものは食材そのものがおいしいため、自然と薄味になります。

カリウムを摂ると血圧が下がりやすくなる?

カリウムは、血圧上昇の原因となるナトリウムを体外へ排泄する作用を持っています。その結果、血圧が下がりやすくなります。塩分摂取量を減らすことに気を取られがちですが、日ごろ摂取しているカリウムの量を見直してみるのも良いかもしれません。

〈カリウムが多く含まれる食材〉

イモ類
里芋、サツマイモ、長芋、ジャガイモなど
果実類
アボカド、バナナ、メロン、キウイなど
野菜類
ほうれん草、小松菜、カボチャ、ブロッコリーなど
豆類
大豆、あずき、納豆など
魚・肉類
かつお、鮭、ぶり、アジ、豚肉など

カリウムを多く含む食品を積極的に取り入れ、バランスの良い食事を心がけましょう。
ただし、腎臓の機能が低下している方はカリウムの摂り過ぎによって心臓に負担がかかってしまう場合があるため、摂取制限が必要になります。詳しくは医師、または薬剤師にご相談ください。