膀胱炎になったことはありますか? -2022年3月31日掲載-

「おしっこを我慢すると膀胱炎になるよ」とよく言われますが、これはたまったおしっこの中で細菌が繁殖して炎症をおこすことが原因です。
膀胱炎になると、残尿感がある、痛みを伴う、何度もトイレに行きたくなる、といった症状が見られます。薬局で薬を買って飲まれる方も多いと思います。市販薬は炎症を抑え、抗菌作用のある生薬からできている漢方薬が多く、軽い症状の場合はこれで治ります。
それでも改善しなければ泌尿器科を受診することをおすすめします。
泌尿器科では尿検査により菌を特定し、適切な抗菌薬が処方されます。「急性膀胱炎」の場合は、薬を飲むことにより、だいたい5日から1週間くらいで菌が消えて症状がなくなります。予防にはおしっこを我慢せず、水分摂取を心掛けてください。

膀胱炎になったことはありますか?
また「慢性膀胱炎」は、同じ細菌性膀胱炎で再発を繰り返すものです。
基礎疾患に前立腺肥大や前立腺炎、過活動膀胱などがあり、膀胱内の環境が悪くなりやすい為、細菌の繁殖が起きやすくなります。
この場合は基礎疾患の治療薬と抗菌薬を併用することになります。

一方「間質性膀胱炎」というのは、全く違う病気です。
膀胱粘膜に炎症が起き、出血していたりします。そこにおしっこがしみて「傷口に塩をすりこんだような痛み」と表現される激しい痛みを伴うことがあります。ちょうど口内炎にお味噌汁がしみる感じでしょうか。
チーズや刺激物、炭酸飲料、コーヒーなど特定の食物を摂ると症状が悪化することがあります。
おしっこが酸性になったりカリウムが増えたりすることで、より一層しみるおしっこになっている為です。
病気の原因ははっきりしませんが、自己免疫疾患などが考えられています。膠原病やシェーグレン症候群の患者で間質性膀胱炎を併発することが多いからです。
今までこれといった治療薬がなく、一部の抗アレルギー剤が使われるくらいでしたが、2021年4月、初の治療薬が発売されました。直接膀胱内に注入する薬剤ですので、医療機関に行く必要があります。膀胱内に一定時間薬剤をためておいて、それから排出します。痛みを伴うので局所麻酔を使うこともあります。これを間隔をあけて何度か行います。とても高額なお薬ですが、この病気で苦しんでいる方には朗報です。
膀胱炎を繰り返したり、過活動膀胱の薬を飲んでも頻尿が改善しない、細菌がいなくなってからも排尿痛などの症状が続くときはこの病気の可能性もあります。
おかしいなと思ったら泌尿器科を受診することをお勧めします。