こどもの味覚について -2022年5月31日掲載-

そもそも味覚とは?

味には「甘味」「旨味」「塩味」「酸味」「苦味」といった5つの基本味があり、それらの味を、口内全体や舌や喉などにある味蕾みらいという器官で感じとります。

味覚の役割

5つの味は体に必要な信号を伝える役割を持っています。

甘味
甘味は生きるために必要なエネルギー源(炭水化物)の存在を教えてくれる役割
旨味
肉や魚などに含まれるアミノ酸(たんぱく質)の存在を教える役割
塩味
体液のバランスを保つミネラルの存在を教えてくれる役割
酸味
食べ物が未熟であること、腐敗物であることを教えてくれる役割
苦味
毒物の存在を教えてくれる役割

こどもの味覚について
甘味・旨味・塩味の3つの味は、生きていくために必要な食べ物であることを脳に伝えるため、本能的に好まれる味とされています。
その一方で酸味・苦味は、体を守るために本能的に避けるべき食べ物であると判断されます。

このように味蕾で味を感じることは、食べても大丈夫か、身体にとって必要なものか、という生体防御の判断をするために必要不可欠なものです。
そのためこどもは、苦味を感じる野菜や酸味の強い果物などが元々苦手です。
しかし、苦味・酸味は何度も経験することで徐々に慣れていく味なので、食経験を重ね、さまざまな味を受け入れられるようになっていくと、味覚は発達していきます。

味覚の発達について

味覚は3歳頃までに土台ができると言われています。
0~1歳ごろまでは、離乳食を通してさまざまな味を、食感、温度、匂い、彩りなどの五感で感じとりながら、食べ物のおいしさを知っていきます。
2~3歳頃になると自我が発達するとともに、食べ物の好みを主張するようになり、この頃から「嗜好学習」というのが加わります。嗜好学習とは、味だけでおいしさを判断するのではなく、食事のときの環境、身体の状態、五感で感じる体験など、さまざまな情報が積み重なって好き嫌いを判断するようになることです。

こどもへの薬の飲ませ方

食事と同様にこどもは苦い薬を嫌がります。一度苦いと感じてしまった薬を嫌がって飲まなくなることがあります。苦い薬の代表例として抗生剤や漢方などがありますが、上手く飲ませるコツとして、服薬ゼリーを使う方法やアイスクリーム、プリン、チョコレートなど甘くて美味しいものに混ぜて飲ませる方法などがあります。ミルクや主食に混ぜると、食事を嫌がるようになるかもしれませんので、混ぜるときは要注意です。
また、抗生剤の中には他の粉薬や酸性の食品(オレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸飲料など)に混ぜると、飲みやすくしてあるコーティングを溶かし、苦くなる場合があるので、注意が必要です。
そして薬をきちんと飲むことができたら、「ちゃんと飲めたね」と褒めてあげましょう。そうすることで、認められたという自信につながります。

お子様の薬をもらうときは薬剤師に相談してください。薬に合わせた飲ませ方について私たちがアドバイスをいたします。