薬の服用時間 -2007年5月1日掲載-

「食事を摂れなくても、薬は服用していいですか?」と質問されることが良くあります。

薬の飲み方には、大きく分けると食前・食後・食間があります。一般的に食前は食事の30分前、食後は食事の30分後、食間は食後約2時間のことをあらわします。

多くの薬は食後に服用します。食後服用は、食事と関連付けることで飲み忘れを防ぐ効果があります。また脂溶性(油に溶けやすい)の高い薬では食後に服用することで薬の吸収が良くなります。薬が吸収されるときに胆汁酸を必要とするような薬も、食後の服用でないと効果が減少します。食事の30分後とされますが、食直後の服用もほとんどの場合、問題ないと考えらえます。

お薬は小腸で吸収されますが、食間(胃の中が空っぽに近い状態)では、服用した薬が小腸に早く運ばれるため、効果が早く現れます。一方、痛み止めなど胃を荒らしやすい薬を空腹時に服用すると、胃腸障害を起こしやすいので注意が必要です。また、空腹時は胃酸のpHが低い(酸性が強い)ので、胃で分解されてしまう薬もあります。たとえば整腸剤である乳酸菌製剤は酸性が強いと乳酸菌が死滅してしまうため、空腹時よりも食後に服用したほうが効果的です。

食前も、空腹時という意味では食間とほぼ同じですが、次の食事までの時間が短いので胃腸の働きをよくして食欲を増進させるような薬に用いられる服用方法です。また、血糖値を下げる薬も食中・食後の効果を期待して食前に飲むことが多いです。

食前・食後・食間のいずれで服用するかは薬の性質・目的によって異なります。食事が摂れないような場合は、薬剤師にご相談ください。