全身に作用する貼り薬 -2008年10月1日掲載-

貼り薬と言えば、肩こりや筋肉痛の時に使用するシップ薬を思い浮かべると思いますが、貼り薬にはいろんな種類があることをご存知でしょうか。シップ薬のように貼った部分に効き、痛みや腫れをやわらげる『局所に作用するもの』と、もう1つ『全身に作用するもの』とに大きく分けることができます。全身に作用する貼り薬には、狭心症の治療薬や女性ホルモン製剤、喘息の治療薬、禁煙補助のための貼り薬などがありますが、今回は、狭心症発作予防に使用する心臓の貼り薬についてお話します。

なぜ貼るだけで全身に作用するのかと言うと、まず貼り薬に含まれている有効成分(硝酸イソソルビドやニトログリセリンなど)が表皮、毛のうや汗腺、細胞間の隙間などを通過して、皮膚の下を縦横に走っているごく細い毛細血管に吸収されます。血管内に吸収された有効成分は全身を循環して、心臓及び全身の血管に作用することで心臓の負担を軽減し、狭心症治療効果を発揮するのです。

心臓に近い場所に貼ればよく効くように思われがちですが、胸部、上腹部、背部または上腕のいずれに貼っても効果は変わりません。同じ場所に貼り続けると皮膚のカブレや痒みの原因になりますので、毎日貼る場所を変えることをお勧めします。

また、心臓の貼り薬はシップ薬と違い、自己判断で一度に何枚も貼ってはいけません。多く貼れば有効成分も体内に多く吸収されるので、作用が増強し頭痛や血圧低下などの副作用が出現する恐れがあります。実際に多く貼りすぎて血圧低下により、病院に運ばれたという事例もありますので貼る枚数は医師の指示に従ってください。

いつもと違う症状が表れたり、貼り薬の使い方などに疑問が生じた時は、まずはかかりつけの薬剤師にご相談下さい。