非結核性抗酸菌症 -2013年9月19日掲載-

非結核性抗酸菌症とは近年、日本で患者数の増えている肺の病気です。
症状、原因菌が結核に似ているため、かつては同じ病気と考えられていましたが、最近の研究で別の病気であることがわかってきました。

この病気の原因菌である非結核性抗酸菌にはたくさんの種類があり、ヒトに病原性のあるものだけでも10種類を超えます。
わが国では、アビウムコンプレックス菌とカンサシ菌が全体の90%を占めています。
この病気の特徴は結核やかぜ、インフルエンザ等の他の感染症と違い、ヒトからヒトへは感染しません。

非結核性抗酸菌は比較的毒性が低いため、症状の進行も5~10年と遅く、感染の初期段階では自覚症状が無い場合がほとんどです。
症状が進行すると咳が止まらなくなり、痰・血痰、全身倦怠感等の症状が多く見られます。さらに進行すると発熱、呼吸困難、食欲不振等が現れます。

診断はまず胸部X線を行い、肺に影があれば、CT検査を行います。
この病気は画像にある程度特徴があるので、熟練した医師は画像から見当がつくようです。また、痰を調べることで菌の種類を特定できます。

治療は患者さんの症状や年齢等を考慮し、薬物療法を中心に行われます。
最も一般的な方法はクラリスロマイシンという抗生物質とリファンピシン、エタンブトールという結核治療薬の3種併用で、完全に治すために1年以上の長期に亘り服用する場合が多いです。

非結核性抗酸菌は自然界に存在しており、それが感染するということは免疫が落ちていることが考えられます。
日常生活の改善によって、抵抗力や自然治癒力を高めることが重要です。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、ストレスや疲れをためないことを心掛けましょう。