骨粗しょう症について理解しましょう -2018年5月31日掲載-

骨粗しょう症とは?

骨は体を支える骨格であり、カルシウムを貯蔵し、心臓や肺などの臓器を守るためにもとても大切なものです。骨粗しょう症とは、その骨の密度、強度が低下して、骨がもろくなり、骨折しやすくなっている症状です。大腿骨などの骨折で寝たきりになってしまうこともあります。

骨粗しょう症になる原因

骨は新陳代謝(骨代謝)しており、古くなった骨の破壊・血液中への吸収と、新しい骨の形成・再生を繰り返します。破壊・吸収する細胞を破骨細胞、形成・再生する細胞を骨芽細胞と言います。骨の形成・再生よりも骨の破壊・血液への吸収が多くなり、バランスが崩れた時に骨密度が低下して、骨粗しょう症になっていきます。

骨量は年齢とともに減っていくため、特に注意が必要な方は閉経後の女性や高齢者です。また、喫煙・過度の飲酒、無理なダイエット・偏食、他の疾患治療でステロイド薬を長期服用中の方、ご家族の方に骨折が多い、骨粗しょう症と診断されたことがある場合も注意が必要です。

骨粗しょう症にならないようにするには

食生活改善

  • カルシウムを多く含む食べ物を食べましょう。カルシウムは骨の材料となります。牛乳・乳製品、ダイズや小魚などに多く含まれています。
    しかしカルシウムの摂り過ぎに気を付けなければなりません。現在の日本では食品によって摂り過ぎる心配はほぼありませんが、サプリメントやカルシウム剤などの薬品を多く摂る場合は注意が必要です。カルシウムが吸収されすぎると、血液中のカルシウム濃度が上がりすぎ、便秘や食欲不振、場合によっては情緒不安定や錯乱をおこすことがあります。
  • ビタミンDを含む食べ物を食べましょう。鮭やウナギなど魚類、キノコ類に多く含まれています。
    カルシウム自体は吸収されにくい栄養素です。ビタミンDは、食べることにより体内で活性型ビタミンD3という物質が作られ、カルシウムの吸収を手伝う役割を持ちます。また皮膚に日光が当たることでもビタミンD3が作られますので、適度な日光浴もお勧めします。
  • タンパク質を含む食べ物を食べましょう。肉類などに多く含まれるタンパク質も骨の材料となります。不足すると骨密度の低下を助長してしまいます。
  • ビタミンKを多く含む食べ物を食べましょう。新しい骨形成を促進させる役割があります。納豆やホウレンソウ、小松菜などに多く含まれています。

逆に取り過ぎに注意が必要なものもあります。

  • カルシウムの吸収を阻害するため、リンを多く含むものを過剰に食べないようにしましょう。特に食品添加物を多く含むハムやベーコン、カップ麺などにはリンが多いので、食べ過ぎに注意してください。
  • カルシウムの排泄を促してしまうので、ナトリウムを過剰摂取しないようにしましょう。ナトリウムは塩分に含まれているため減塩に心がけましょう。
  • たばこ、アルコールやコーヒーなどの嗜好品の摂り過ぎに注意してください。

以上を踏まえてバランスの良い食事を心がけましょう。

適度な運動を心がけましょう

軽い運動で骨に対してある程度の負荷を与えることにより、骨も強くなっていきます。せっかく摂取したカルシウムも、運動で使わないと血液中からそのまま尿として排泄されてしまうことがあります。日光浴でビタミンD3も作ることもできるため、天気が良い日は軽くウォーキングなどしてはいかがでしょうか。

治療薬について

食生活改善や運動解消でも改善しない場合、薬物治療を行うこともあります。

カルシウム剤 カルシウム剤は、食事からカルシウムを十分に摂取できない場合の補充として服用します。
ビタミンD剤
ビタミンD3剤
腸でのカルシウムの吸収を助けます。
ビスホスホネート製剤 骨の破壊・血液中への吸収(破骨細胞)を抑えて骨量を増加させます。
歯科で抜歯などを行う場合、抜歯後の穴がふさがりにくくなるため、服用している場合はきちんと歯科医に相談してください。
女性ホルモン剤 女性ホルモンの1つであるエストロゲンは骨破壊を緩やかにしますが、閉経後の女性はエストロゲンが減少し、骨量が徐々に減っていきます。補充することにより骨量の減少を抑えます。
ビタミンK2剤 新しい骨形成の促進を行います。

など、色々な医薬品があります。
ご心配な方は、医師の指示のもと骨密度の検査などで現在の自分の状況を調べてみてはいかがでしょうか?

早期対策することにより骨折防止、寝たきり防止などにもつながりますので、先ず、お近くの医療機関にご相談してください。

自分に合った治療や対策について、医師、薬剤師と一緒に検討していきましょう。

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