風邪に使われる「葛根湯」について -2025年2月28日掲載-

漢方薬は病院で処方されたり、薬局・ドラッグストアで市販薬として販売されている医薬品です。植物の葉、茎、根などや鉱物、動物のなかで薬効があるとされる一部分を加工したものであり、さまざまな症状に効果を発揮します。
今回は風邪をひいたときに広く使用されている葛根湯について紹介します。

改善が期待される症状

風邪の初期症状(発熱、頭痛、悪寒など)、鼻炎、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みなど

作用

  • 発汗を促し、熱を下げる。
  • 炎症や痛みを和らげて風邪の症状を改善する。
  • 血行を促進し、肩こりや首筋のこりを改善する。

どんな風邪にあっているか。

風邪に使われる「葛根湯」について

  • 風邪のひき初めで、悪寒、発熱、頭痛がある場合。
  • 首の後ろから背中にかけてのこわばりや肩こり、寒気を伴う場合。
  • 汗をかいていない、体力中等度以上の人。

配合生薬

葛根湯は桂皮、芍薬、甘草、大棗、生姜、麻黄、葛根という7つの生薬からなるお薬です。

  1. 葛根(カッコン):発汗作用、解熱作用、鎮痛作用がある。
  2. 大棗(タイソウ):胃腸の調子を整える。
  3. 麻黄(マオウ):発汗作用、鎮咳作用がある。
  4. 桂皮(ケイヒ):発汗作用、解熱作用、鎮痛作用がある。別名「シナモン」。
  5. 芍薬(シャクヤク):鎮痛作用、筋肉の痙攣緩和作用がある。
  6. 生姜(ショウキョウ):体温を温める。血行を促進する。胃腸の働きを高める。
  7. 甘草(カンゾウ):抗炎症作用、健胃作用がある。

副作用について

漢方薬は副作用が少ないとされていますが、配合される生薬によっては過剰に摂取すると副作用を起こすことがあるので用法・用量を守って服用することが大切です。

漢方薬の服用タイミング

・服用タイミングは食前(食事の30分前)または食間(食事の2時間後)です。
漢方薬は胃が空のときに飲む薬なので、食後すぐに飲むと効果が落ちる可能性が
あります。ただし、胃に負担となる場合は食後服用がよい場合もあります。

漢方薬の上手な飲み方

  • 細粒・顆粒タイプは水や白湯を先に口に含んだ状態で薬を口の中に入れるとお薬が口の中に広がりにくくなります。
  • オブラートで包むことで、漢方薬の苦みなどを感じることなく飲むことができます。
  • 漢方薬が苦手な子どもには服薬ゼリーを使用したり、ヨーグルトやアイスクリームに

混ぜて食べさせる方法もあります。

風邪に使われるそのほかの漢方薬

麻黄湯:体力があり、風邪のひき初めで、汗をかいておらず、のどの痛みや関節痛がある方に適しています。
桂枝湯:体力が低下しており、風邪のひき初めで、汗をかいている方に適しています。
香蘇散:体力が低下しており、風邪のひき初めで、食欲不振や悪寒を伴っている方に適しています。

漢方薬の飲み方や選び方でわからないことがあれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。