アルツハイマー病の進行抑制=iPS細胞で発見の既存薬―京大など

京都大iPS細胞研究所の井上治久教授らの研究チームは30日、家族性アルツハイマー病の患者に、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って発見した治療薬の候補を投与する臨床試験(治験)を実施した結果、症状を抑制する傾向が見られたと発表した。

研究チームは2017年、iPS細胞を用い、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドベータ」を減らす化合物を調査した。その結果、パーキンソン病の治療に使われる既存薬「ブロモクリプチン」が有効と分かった。

20年から家族性アルツハイマー病の患者8人を対象とした治験を実施。偽薬を20週間投与した患者は、3人中2人で認知機能が低下したのに対し、ブロモクリプチンを投与した患者は5人中1人にとどまったという。

治験に参加した患者が少ないため、研究チームはさらに詳細な検証を進める方針。井上教授は「早期に実用化し、患者に薬を届けたい」と話した。

時事通信社

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