血管老化で重症化=高齢者の新型コロナ感染―京都府立医大

京都府立医科大の池田宏二教授らの研究グループが、血管内皮細胞が老化すると新型コロナウイルスに感染しやすくなることが分かったと発表した。感染すると血栓ができやすくなるとみられ、高齢者が重症化する一因と考えられるという。研究成果は25日、英国際学術誌オンライン版に掲載された。

研究グループは重症化を予防する治療薬の開発につながる可能性があるとしている。

池田教授らは、ヒトの若い血管内皮細胞と、分裂を繰り返して老化させた同細胞にウイルスを感染させる実験を行った。

その結果、感染から6時間後の老化細胞には、若い細胞の約800倍のウイルスが侵入していることを確認。遺伝子解析の結果、老化細胞では血栓の形成に関わる遺伝子が強い影響を受けていることも判明した。

重症患者は、肺の中に微少な血栓が数多く形成されることが報告されている。研究グループは、血管内皮細胞が感染すると、血栓を防ぐ機能に異常が生じ、血栓ができやすくなるとみている。

池田教授は「老化した血管内皮細胞に感染しやすい仕組みを解明すれば、重症化を予防する治療薬の開発につながると期待される」と話している。

時事通信社

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