観光や飲食、再び打撃=高齢者の外出自粛要請も―新型コロナ「第7波」

新型コロナウイルスの「第7波」急拡大の影響は、夏休みの人出に期待していた観光地や飲食店にも広がっている。政府は従来型の行動制限に慎重な姿勢を崩さないが、休業補償がない分「本当につぶれる」と悲痛な声も。大阪府では高齢者への外出自粛要請が始まったが、2日目となる29日も受け止めはさまざまだった。

東京・浅草の老舗和菓子店「浅草満願堂」では、5月にはコロナ前に近い水準まで回復した売り上げが、7月に入って4割ほど落ちたという。営業担当の小林一巳さん(56)は「苦しい状況がいつ終わるのか分からないのがつらい。外国人ツアー客の受け入れ再開にも期待していたが、あまり来ていなくて残念だ」と表情を曇らせる。

観光人力車「時代屋」の藤原英則代表(66)は「(感染が落ち着いていた)4、5月の勢いはない。また自粛モードが出てきている」と危機感をあらわにする。

新橋の居酒屋でも予約のキャンセルが相次いでいる。店主は「政府は行動制限をしていないが、会社が会食を禁止している。飲食だけが目の敵にされている」と憤る。この日も料理人が発熱して臨時休業になったといい、「第6波と違って(行動制限に伴う)協力金が出ないので、本当につぶれるところも多いのでは」と懸念を示した。

高齢者に不要不急の外出自粛を求める「医療非常事態宣言」が発令された大阪府。高齢者の憩いの場となっている碁会所「三桂クラブ」(大阪市浪速区)ではここ数日、客足が鈍っており、常連客からは「もう行けない」と電話があったという。店主の伊達利雄さん(58)は「コロナのせいで来られなくなるのは寂しい」と残念がる。

一方、大阪市内の銭湯を訪れた女性(81)は、自粛要請にも「仕方がない」と淡々とした様子。別の女性(85)は、銭湯と買い物以外は外出しておらず、「人混みには行かない」と話した。

時事通信社

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